茄子がままに

週末の山遊び、街遊び、自転車遊びのこと。ホームマウンテンは六甲山です。

燕岳ビバーク訓練(前半)(2020/07/24)

昨年の9月、それまで山といえば六甲山しか知らなかった私は、桁違いにスケールの大きい北アルプスの山中で3日間過ごし、山の価値観が吹き飛ぶのをひしひしと感じていました。

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空の中を走る常念山脈の美しい稜線、水平線の彼方まで広がる雲海、人間を寄せ付けんと岩肌がむき出す穂高連峰、その谷間を流れる青々とした梓川f:id:massto0421:20200924185937j:imagef:id:massto0421:20200924190338j:imagef:id:massto0421:20200924185926j:image

好天に恵まれ華々しく北アルプスデビューを果たし、気づけばTJARを夢見るほど私の心は日本アルプスの虜になっていました。

今年も勿論アルプス登山しようと意気込んでいた矢先のコロナ鍋。

豚バラ肉、白菜、ごま油、白だしコロナビールを土鍋に投入。一煮立ちさせ蓋を開けてネギと白胡麻を散らせば完成。コロナビールの旨みが引き立ち箸が止まりません。これはアルプスなぞ行ってる場合ではない。。。。。

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裏銀座縦走、立山連峰中央アルプス縦走、奥穂高。歩きたい道は数あれど、山小屋の営業の有無、遭難の可能性などを考慮し、昨年の常念山脈に近い表銀座縦走に行くことにしました。(去年の9月は常念山脈縦走)

今回の装備です。去年に比べてかなり装備の軽量化・コンパクト化を実現できました。給付金と社会人の財力を遺憾なく発揮した結果です。水無しで8.5kgまで抑えられました。

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7月23日 22:00に梅田から高速バスに乗車。障害者割引で半額になるので片道3000円ほどで行けます。

7月24日 6:00ごろに松本駅に着きました。その後、松本線に乗り有明駅へ。しょぼしょぼと小雨が降ってます。今夏は梅雨が長引きましたね。
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有明山も雲の中。1年前と同じ景色に懐かしさを感じます。
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昨年と同様、500円分節約するために有明駅から5kmほど離れたバス停まで歩きます。時間通りにやってきた南安タクシーに乗り、登山口の中房温泉まで向かいます。つづら折りが連続する悪路を難なく突き進む運転手さんの華麗なハンドル捌きに見惚れてしまいました。

中房温泉に到着しました。去年はここでテント泊しましたが今回は登山届けを提出してすぐに出発です。

9:30 中房温泉出発
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足が本調子でない上に、ランニングもしばらく滞っていたので息がすぐに上がります。ザックの重量は去年の半分ほどなのにも関わらず去年よりも辛い気がします。

11:12 合戦小屋
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合戦小屋からは少し斜度も落ち着き楽になります。しかし標高が上がるにつれ雨風が激しさを増す。さらに下山してきたおっちゃんから衝撃的なニュースを聞きました。

「兄ちゃん表銀座か?俺も行こうとしたけど西岳の先が通行止めなってたから引き返してきてん」

まじか。詳細を聞くと、悪天候により表銀座の核心部である西岳ヒュッテの先は滑落の危険性が高く、コロナ禍で遭難者を救出するのも負担が大きく難しいため、警察が封鎖してるとのこと。仕方ないので去年と同じ常念山脈のコースを辿ることにしました。

11:58 燕山荘

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ようやく燕山荘に到着。稜線に出た瞬間、風の強さは今までとは比べものになりません。一気に体温を持っていかれます。じっとしていると寒くなる一方なので休憩もそこそこに燕岳へ向かいます。

台風並みの風雨。景色を楽しむ余裕はないし、楽しむ景色もない。
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12:20 燕岳登頂f:id:massto0421:20200924210542j:image

今年と去年の山頂から同じ方向を撮った写真↓

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燕山荘から燕岳の往復だけで意気消沈。とりあえず燕山荘に逃げ込んで暖をとることにしました。温かいカレーうどんが身に染みます。
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さて、この後の予定を考えます。先へ進みたいところですがなんせこの悪天候。この程度の風雨は北アルプスの稜線では当たり前なのかもしれませんが、私にとっては経験したことのない風雨。さらに足の調子を考えると、進めても大天井岳までです。標高が高く風の通り道となっている大天荘のテント場でビバークするのは避けたいところです。

もう潔く下山してしまおうかと思いましたが、長野県まで来て流石にそれは勿体ないので選択肢から外す。

思案した結果、燕山荘のテント場でビバークの練習をすることにしました。TJARの参加資格にはCT20時間以上の行動後、標高2000m以上の高地で露営(ビバーク)をした経験が必要になります。今回はCTの条件に満たさないですが、荒れ放題の稜線でビバークすることはいい経験になるはず。
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雨の中シェルターを設営します。当たり前ですがこの間も雨で濡れるので設営は素早く行わなければなりません。時間は計っていませんが手間取らずに設営できました。

設営後はシェルター内に置く荷物のレイアウトを考えます。軽量性とコンパクトさを実現した代わりに快適性を削ぎ落としたクロスオーバードームはやはり中の空間も狭いです。小柄な私(身長163cm)が少し余裕を持って足を伸ばせるくらい。寝返りはほぼ打てない。

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シングルウォールなので結露が発生しやすい上に、シェルターの内側の生地に接しているものは容赦なく濡れる。

シュラフは防水のエスケープヴィヴィで覆っているので大丈夫ですが、問題なのはザック。今回ザックカバーを持ってくるのを忘れてしまい、防水する術がありません。テントの底はOMMのザックに付属している背面マットを敷いてるだけで、あとはグラウンドシートだけなので水が染みてくるのも時間の問題。今あるものでどうにかしないといけないので、とりあえずスーパーのビニール袋を敷いてその上にザックを置きました。

少し落ち着いたところで時計を見るとまだ14:00。これから日が落ち夜が深まるにつれ、容赦のないアルプスの洗礼に悪戦苦闘を強いられることになります。