茄子がままに

週末の山遊び、街遊び、自転車遊びのこと。ホームマウンテンは六甲山です。

中央アルプス縦走③ (2020/09/20.21)

4:30 檜尾避難小屋を出発。残念ながら星は見えなかった。夜間は無風で気温も高く、快適に眠れた。少し出発が早い気もしたが、私の不安症な性格上、余裕があればあるほど良い。これから向かう空木岳の前には熊沢岳、東川岳という山があるためアップダウンの激しいタフなコースであり、序盤から急登に苦しめられた。しかも宝剣岳に劣らない険しい岩場もあるため朝から辛い。暗いので何回かルートを間違えたりもした。雲が多いのでご来光も期待出来なさそうだったが、熊沢岳の手前で御嶽山が綺麗に望めた。特徴的な山容なのでわかりやすい。

f:id:massto0421:20210117171214j:imagef:id:massto0421:20210117171321j:image
f:id:massto0421:20210117171051j:image
6:00 熊沢岳に登頂。出発から1時間半かけてやっと一つ目のピークか…と少し意気消沈気味である。まだまだ先は長い。
f:id:massto0421:20210117170959j:image

再び御嶽山の方を見ると、太陽によってグラデーションがかった水平線が綺麗だった。アップダウンがあるものの、歩きやすい道になってきて徐々に歩く速度も上がっていく。
f:id:massto0421:20210117171259j:imagef:id:massto0421:20210117170923j:image

6:45 東川岳に登頂。空木岳がすぐ目の前に迫っておりゾクゾクしてきた。同時に山頂に至るまでの急登が際立ち、気合を入れ直した。

f:id:massto0421:20210117171026j:imagef:id:massto0421:20210117171137j:image
f:id:massto0421:20210117171330j:image

東川岳と空木岳の鞍部に位置する木曽殿山荘まで一気に駆け下りる。写真でも分かるように相当な斜度である。空木岳はこれに近い斜度の坂を今度は登らないといけないのかと思ったが、考えないことにした。
f:id:massto0421:20210117171108j:image

6:55 木曽殿山荘に到着。最後の登りに向けて水やトレイルミックスを補給。これから気温が高くなると思われたので短パンと半袖シャツにウインドブレーカーを1枚だけ羽織って7:00に登り始めた。

f:id:massto0421:20210117171326j:imagef:id:massto0421:20210117171159j:image

空木岳の容赦ない登り。それは昨年の常念岳の登りを思い出させるものだった。がれ場をジグザグにひたすら登る。スピードを出そうとすると絶対にどこかで垂れることは昨年経験しているので、無理のない強度を保ちながら淡々と登っていく。20分登っただけでも先程までいた木曽殿山荘が小さく見え、かなり標高を稼いだことが体感できた。
f:id:massto0421:20210117171046j:image

丁度中間あたりには偽ピークが存在し登山者のやる気を奪いにかかる。事前に情報を頭に入れておいても、実際に苦しい場面での偽ピークは本当に心が折れそうになる。さらにここからは岩場も加わってくるため、体力が無くなってきた時に登ると危険かもしれない。よく登山では、技術は体力である程度カバーできるが、体力は技術でカバーできないと言われることがある。やはり初めてアルプス登山に挑戦する場合は、相応の体力をつけてからが望ましいと思われる。
f:id:massto0421:20210117171146j:image
そして木曽殿山荘からぴったり1時間。8:00に空木岳に登頂。出発した時からずっと雲が出ていたが、空木岳の山頂に近づくにつれ風に流されていき、山頂からは晴れ渡った空が広がっていた。空木岳という名前の如く、空の中にいるのではないかと錯覚するほど山と空は一体化していた。こんなにも空の存在感が強い頂は初めてである。後から登ってきた男性に声をかけて写真を撮り合った。男性も充実感溢れるとてもいい表情をしていた。f:id:massto0421:20210117171128j:imagef:id:massto0421:20210117171009j:image

空木岳からは南アルプスがよく見えていた。見えすぎていた。その山脈は美しくもあり、絶望的なまでに、どこまでも果てしなく連なっていて、その道のりの過酷さを否応なしに感じさせた。TJARは南アルプスからが本番と言われるその意味が、ほんの少しだけ分かったと思う。

f:id:massto0421:20210118201821j:image

この青空の下、いつまでも山頂にいて充実感に浸りたい気分だったが、そうも言ってられないので名残惜しくも山頂を後にした。絶景を拝みながら稜線を駆け下りたあの時間、私は終始ニヤついていた思う。心の底から幸せだった。五体満足で不自由なく登山という趣味に講じれることに幸福を感じた。

f:id:massto0421:20210117170948j:imagef:id:massto0421:20210118202455j:image
f:id:massto0421:20210118202450j:imagef:id:massto0421:20210117171042j:image
f:id:massto0421:20210117171057j:imagef:id:massto0421:20210117171315j:imagef:id:massto0421:20210117171121j:imagef:id:massto0421:20210117171036j:imagef:id:massto0421:20210117171229j:imagef:id:massto0421:20210117171250j:imagef:id:massto0421:20210117171305j:image

11:00 駒ヶ根菅の台バスセンターに到着。無事、山行を終えられたことに心から感謝したい。

f:id:massto0421:20210117170929j:imagef:id:massto0421:20210118205122j:image