「点と点のつきあい」
私はこのごろ、こう思う。
人は、点と点のつきあいでよいのだ。
全貌くまなく捉える線のつきあいでなくともよいのだ。自分にとっての、「その人」というだけでよいのではないか。
小さい一点だけの「真」でよい、それを通しての人として捉えるのがよい。だから私にとってはいい人であっても、他の人にはよからぬ人ということもあろうし、その反対の場合もあるだろう。
反対の場合もあると知りつつ、私は点の部分で、その人をいとおしみ、親しんでいくであろう。
田辺聖子さんの『老いてこそ上機嫌』という本から引用させてもらった。この本を読んだとき、人付き合いの何たるかを知ることが出来たような気がした。他人のすべてを知るのは無理な話で、すべてを知ろうとすること自体ごうまんである。逆の場合も然り、自分の全てを知ってもらおうとするのも、相手方にかかる負担が大きい。どれだけ気心の知れた間柄であろうと、決して人依存になるべからず。