茄子がままに

週末の山遊び、街遊び、自転車遊びのこと。ホームマウンテンは六甲山です。

滝畑グラベルライド(2022/01/30)

いつもは避けるあの川沿いの砂利道を、今日はためらいなく猛進する。荒れた路面から伝わる振動で身体を震わせながら、波打つバイクを“どうどう”と乗りこなす感覚は新鮮だった。f:id:massto0421:20220302093052j:image

昨日、心斎橋の自転車店「cycle&life funcle」さんで「JAMIS SEQUEL S3」というフルリジッドMTBが納車された。そのバイクを駆って、岩湧山のふもとにある滝畑ダムへ向かう。ロードバイクの軽さに慣れきった脚には、47cのタイヤでそれなりのスピードを維持しながら巡航するのは苦しかった。途中で「そもそもスピードを求めるような自転車ではなかったな」と本来のバイクの用途を思い出し、巡航速度は25km/hほどに落ち着く。社寮から別所草部線をそのまま南下していくと、堺かつらぎ線に合流する。まもなくして、天野山カントリークラブへと続く横道にそれ、最初のヒルクライムに突入する。斜度が増したとたんバイクが進まなくなり、脚にかかる負担がドッと増す。12.7kgという車体の重さがもろに効いている。最初から想定していたことだが、しんどいものはしんどい。「筋トレにはもってこいやなぁ」と半ばやけくそ気味になりながらも、ギアを一番軽くしてなんとか峠を越えた。とはいえ今回のコース全体でみると、天野山のヒルクライムは序の口に過ぎないので先が思いやられる。束の間の下り区間も終わり、すぐに難所の坂道が待ち受ける。金剛山寺から関西サイクルセンターを通過し、滝畑ダムへ向かうこの坂道の距離は約4km、最大斜度は15%ほどだろうか。数メートル前に、ロードバイクに乗った中年のおじさんがヨロヨロと登っているが、それにも追いつかない次第である。

どうにかこうにか滝畑ダムに辿り着くころには、当初登るつもりだった岩湧山への登高意欲はすっかり失せていた。夏頃は青々とした山並みも、冬真っ只中のいま、ひっそりと寒さに耐えているかのような深い緑色をしていた。その山並みに近しい色をしたsequelの車体は、風景の一部となって見事に馴染んでいた。f:id:massto0421:20220302093903j:image

ここ最近は降水量が少なく、ダムの水位も底が見えそうなほど下がっている。このダム湖に沈んだ村の痕跡を探したが、それらしきものは見つからない。そんな風に珍しいものは無いかと、ダム湖の周りをゆるゆると走らせていると、今まで気にも留めなかったひとつの鳥居が目に入った。私は近くに自転車を停めて、鳥居の先に続く急な石段を登っていった。f:id:massto0421:20220302091457j:imagef:id:massto0421:20220302091537j:image

階段の先には思いもよらず、立派な社が建っていた。「天神社」と呼ばれるこの神社では大梵天王を御神祭として祀っているようである。境内に立つ木々の隙間から滝畑ダムが望めて、少し得をしたような気分になれた。今後も、ロードバイクのスピードでは気づかなかった新しい出会いが待っていると思うと、車体が少し重たいくらいの欠点は霞んで見えるし、むしろその鈍重ささえ愛おしく思えてくるから、私も立派な自転車バカなのであろう。f:id:massto0421:20220302093628j:image