自転車で山、海へ行く

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六甲縦走キャノンボールランrainbowの部(2022/03/16,17)

5回目の参戦となる六甲縦走キャノンボールラン。縦走路を1.5往復するrainbowの部で念願の完走を果たせたのは、ひとえに今から述べる方々のご協力あってこそのものだと思う。たらたらと時系列に出来事を書いていっても退屈なので、今回は上に述べた方々に焦点を当てて記録を書こうと思う。

まずは1本目の宝塚〜須磨で一緒に走っていただいたUさん、Mさんのお二方。東六甲を走ってるときに、ペースが一緒ということもあって並走することになったUさんは長田区在住とのこと。キャノン初参戦ながらrainbowの部にエントリーしたと言う大胆ぶりは、その鍛え抜かれたふくらはぎから見てとれる実力を想像すれば納得である。Uさんはコーヒー好きなようで、走りながら元町商店街の喫茶店トークで盛り上がった。日本最古のコーヒー販売店といわれる「放香堂」の話をしたら、とても行きたそうな反応をしてくださり嬉しかった。意外なところで神戸学検定の知識が役に立つものである。Uさんからは「観音屋」のデンマークチーズケーキの感想を聞かせてもらった。レアでもベイクドでもない不思議な食感で、ぜひ食べてみて欲しいとのこと。自分も観音屋のことは知っていたが、まだ入店したことがなかったので近々伺おうと思う。

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掬星台で小休止を挟んでいると、スタート地点で写真を撮ってくださったMさんが追いついた。そのまま流れで3人で走ることに。豊中在住のMさんのホームマウンテンは箕面なんだそう。次いでよく走りにいくのが六甲らしい。Mさんはあまり行かないそうだが、豊中在住であれば生駒山へのアクセスも良さそうである。トレーニング場所の選択肢が多いのはなんとも羨ましい。f:id:massto0421:20220408192707j:imagef:id:massto0421:20220408192657j:imagef:id:massto0421:20220408192648j:image

大会当日は夜勤明けのまま寝ずにスタートしたため、菊水山を下りてきたあたりで睡魔に襲われた。2週間前の試走の時も同じタイミングで眠気に悩まされた。UさんとMさんが前を走ってるのをいいことに、私は2人の背中と認識できる最低限の焦点を保ちつつ、半分寝ながら走っていた。鵯越駅の自販機でリアルゴールドを飲んでやっと目が覚めた。その後も、お二人が話しかけてくれたおかげで、須磨浦公園に着くまで睡魔に襲われることはなかった。妙法寺あたりのロードを走っている時、スタートして以来のお日様に、3人とも感嘆の声を上げたのは良い思い出である。

1本目(塩尾寺下休けい所ー須磨浦公園):8時間14分

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流石に夜勤明けのままぶっ通しで走るわけにはいかないので、1本目を終えたら須磨浦公園で仮眠をとる予定でいた。予定通りザックからおもむろにシュラフとビビィを取り出し、須磨浦公園駅から少し離れたベンチで寝る体制に入った。しかし先ほどからパラついていた雨の勢いが増し始め、意識が朦朧としかけてきたあたりで、雨音によって起こされた。時間にするとベンチに横になってから30分も経っていない。本降りになってきた雨のなか、いそいそと就寝セットをザックに押し込んで駅の方へ避難した。駅には雨宿りしているNightspeedとPowerのキャノンボーラーでごった返し状態である。そういえば1本目を終えてすぐ2本目をスタートしたUさんは大丈夫だろうかと気がかりになった。雨はいよいよ激しさを増すばかりである。しかし雨雲レーダを見ると30分後に雨雲は去るようで安心した。

20:17 須磨浦公園出発

雨が上がったので2本目スタート。当初は仮眠をとったうえで21:00に出発する予定だったが、前述したように雨で寝れなかったため、時間を持て余した結果すこし早めのスタートになった。旗振山から須磨の海を見下ろすと、澄み渡る夜空に煌々と輝く満月が浮かんでいた。須磨の海面にはその満月が映し出され、いつにも増して神秘的な夜景であった。f:id:massto0421:20220507074609j:image

馬の背ではキャノンボーラーのヘッドライトが列をなしており、その光に照らされた花崗岩がぼやっと白く浮かんでいる。まるで鍾乳洞のライトアップの様でもある。f:id:massto0421:20220507074616j:image

菊水山では元アルバイト先で、今も付き合いのある自転車屋の店長とアルバイトのO君、常連さんのMさんの3人が、真夜中にも関わらず駆けつけてくださった。しかも牛すじ入りのカレーと蜂蜜レモンを差し入れで戴き、とてもパワーが出て有難かった。当の自分はというと、寒さと眠気であまり余裕のない状態であり、せっかく応援に来てくれた3人に対して誠意をもった対応が取れなかった。どんな場面であっても、人の優しさに対して感謝の気持ちを示せられる余裕を残しておくべきだと帰ってから反省した。ともあれ、差し入れでがっつり食事を取ったため体温も上がり、一番の難所である摩耶山の天狗道も力走できた。

深夜の六甲山上では強風に加えて季節外れの雪が舞っていた。キャノンボール当日は天気が荒れるというジンクス通りである。雪が降るくらいなので非常に寒く、薄手のウインドブレーカーの上からレインウェアを重ね着してなんとか寒さを凌いだ。f:id:massto0421:20220507105657j:image

2本目(須磨浦公園ー塩尾寺下休けい所):10時間58分

塩尾寺下休けい所では友人のRが待っていた。Rとは高専のころ一緒に何度か登山をしたのだが、なかでも2人で六甲全山縦走に初挑戦したときの記憶は今でも鮮明に残っている。須磨浦公園を朝早くに出発して、六甲山最高峰に着くころには日が落ち始めていた。ヘッドライトを持ってはいたものの、2人とも真っ暗な山道を歩く勇気がなく、すごすごとケーブルカーで下山した情けない撤退であった。Rは高専を卒業してからトレランを始めたらしく、今回のキャノンボールにも初参加する運びとなった。

2本目を走り終わった後の体力を考えると、3本目は頑張っても10時間代のペースでしか走れないだろう。そのためRと一緒に走りたい気持ちはあったが、足を引っ張ってしまうことになると思った。「飛ばしたくなったら先行ってなぁ」とRに伝えると、彼は私のペーサーとして走ると言ってくれたので、有り難くその提案に甘えることにした。彼のペーサーとしての走りぶりは素晴らしく、丁度良いペースで前を引っ張ってくれた。何より走りながら色々と喋りかけてくれたおかげで、極度の眠気に襲われることもなかった。六甲山上は昨夜の降雪によって霧氷が見られ、3月下旬とは思えない光景が広がっていた。

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一軒茶屋前のエイドで味噌汁を、サードプレイス六甲さんでチーズパンスープを戴き、身体を温めながら六甲山上のロード区間をクリア。掬星台では唐揚げとビールでほろ酔い気分に。キャノンボールはいつも私設エイドの充実ぶりに驚かされるし、エイドを出されている皆さんには感謝しかない。再度公園の分岐あたりではキャノン名物のエロ本エイドが登場し、Rが飛びついた。この時だけはペーサーとしてマイナス評価をつけざるを得ないが、自分も人のことは言えないので目を瞑った。なお写真を見返すとガッツリ局部が写っていたので、ここでは掲載を控えることにする。f:id:massto0421:20220508175739j:imagef:id:massto0421:20220508175743j:imagef:id:massto0421:20220508175746j:imagef:id:massto0421:20220508175751j:image

バラエティ溢れるエイドを楽しみながら進んでいると、気づけば全山縦走路は後半に差し掛かっていた。何回この道を通るんやろなぁと苦笑しながらも、Rがいてくれたお陰で精神的な辛さはほとんど感じなかった。急登が続く横尾山を登り終えて栂尾山の山頂に立てば、もうゴールの須磨浦はすぐそこにあると実感できる。おらが山から旗振山への気持ちのいいシングルトラックを、踏ん張りの効かなくなった足で、惰性のみで走っていく。旗振山からの階段下りは重力に身体を預けるしかない。この足を使い果たした感覚は、初めて六甲全山縦走を踏破したとき、塩尾寺から宝塚の街へ下りている時の感覚に近く懐かしい思いがした。思えばあの時の達成感に味を占めたことがきっかけで、ロングトレイルという沼にずぶずぶと浸かってしまった。この沼の底は未だ見えず、底があるのかさえ分からない。そしてまた上を見ても、とうに沼の入口は見えなくなってしまった。しかしながら沼に浸かっていくのは案外と気分のいいもので、今はまだ重力に任せてどこまでも沈んでいきたいと思っている。f:id:massto0421:20220508180854j:imagef:id:massto0421:20220508173138j:imagef:id:massto0421:20220508180850j:image

3本目(塩尾寺下休けい所ー須磨浦公園):10時間43分

総合:29時間52分

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