茄子がままに

週末の山遊び、街遊び、自転車遊びのこと。ホームマウンテンは六甲山です。

TJAR2024の参加条件変更について思うこと

4月29日にTJAR2024の参加要件が発表された。2022年大会からの大きな変更点は2つ。その内容を公式HPから引用する。

TJAR2024においては、これまでの内容を踏襲した上でいくつかの変更を加えています。
大きい所では「③参加条件 1,」本大会を想定した行動についてです。
1:長時間である事に加えてコースタイム(以下CT)比70%以下のスピードと明記
2:2泊3日以上の行程必須

この2つの変更点を考慮して参加要件を読みこむうちにある疑問が生じた。それは今回変更された「1:長時間である事に加えてCT比70%以下〜」の項目に関してである。

例えば、コースタイム20時間のコースをCT比70%のスピードで歩く計画を立てたとする。その際、稜線上で雷雨に遭遇し1時間の停滞を強いられたとき、その日の終着点に着くのは当初の予定より1時間オーバーすることになり、CT比70%以下という追加条件を満たせなくなる。仮にCT比70%以下のスピードを維持するために、雷雨のなか稜線上を突破したとしても、その行動は参加条件3.「リスクマネジメント(危機管理)に対して」の「A.事前にリスクを回避する(危機回避能力)」と矛盾するのではないだろうか。

また体調不良や怪我などにより、一時的に大休憩を取ったり仮眠したりする場合も困ることになる。1日24時間のうち、行動、睡眠、食事にどう時間を配分するのか。そのときの天候、体調など総合的な状況に合わせて柔軟に対応することも選手に求められる技量のひとつなのではないだろうか。

HPにはCT比70%の条件を追加した趣旨も記してあるので見てみる。

1:これまでは「TJAR本大会を想定した」と書いていたにとどまり、具体的な数的基準は示していませんでした。
その結果、TJAR本大会を想定とするにはあまりにスピードが無く、申込時点で力量不足とみられる事例が多々見られました。
改めて、食事、睡眠も考えると「20時間コースでCT比70%以下」この辺りが完走レベルのリミットと考えて、これを基準として示すこととしました。
TJARの制限時間は8日間(192時間)ですが、全コースのコースタイムを拾ってみるおよそ190時間。制限時間とほぼ同じです。この190時間を8日で割ってみればおよそ24時間。毎日CT24時間の行程を8日間連続でこなしていかないと完走できません。つまり、ここで指定しているCT20時間/日はまだまだ甘い事がわかります。7日切りを目指す選手はCT30時間/日、トップの選手CT40時間/日辺りが目安となります。

CT比70%以下と記しているが、悪天候による停滞も加味したうえで実際の行動スピードを考慮せよ

もし実行委員の意図するところが上記のようであれば何も言い返せないが…。大会出場を目指すものから意見すると、「実際の行動時間*7」の箇所に“悪天候時や緊急を要する救助などで余儀なく停滞を強いられた場合を除く”などの文言を追加してくれると有り難いのだが。f:id:massto0421:20230526020754p:imageTJAR2024へ向けた参加要件 | お知らせ | トランスジャパンアルプスレース 2022 | Trans Japan Alps Race 2022

※2023/07/22 追記

TJAR選手の中でもファンが多い男澤さんのブログ【TJAR2024を望む】南ア2泊3日山行で得たもの�A: 突っ込め 突っ込め わ〜お!にて南アルプス2泊3日山行の記事を拝読。ここでもCT0.7の絶妙な難しさについて触れられていた。しかし私と違うのは一貫して自責のスタンスを取っている点。以下記事から引用させていたく。

ロストは当然自分が悪い。怪我も自分の油断。
荒天は自身が天気図読めないのが悪い。
渋滞もその山域選んだ自分。

この自責のスタンスこそTJAR選手に求められる要素であると痛感させられる。また自分に欠けている部分でもあると再認識した。つまりは鼻からCT0.7をベースに計画を立てるのは危ういということだ。宿題を確実にこなすには最低でもCT0.6、できればCT0.5以下で行動できる体力が必要である。