自転車で山、海へ行く

山、海、街、自転車、船、本のこと

風の便り(2022/01/29)

君が所帯を持ったことも、子供が生まれたことも、風の便りに聞きました。この世の中には、風の便りというものがあって、こちらがべつに求めることをしないでも、消息を聞かせてくれるものですね。なにげなく齎されたものがいちばんいい。どこかの国の古い諺に、こんなのがなかったかしら。日頃会いすぎるほど人に会い、席の暖まらぬ思いばかりしていると、そんなたまの便りが懐かしくて。

久しぶりに小山清『風の便り』を開いた。冒頭の「夕張の友」を読むと、暫くざわついていた心が少しだけ落ちついた。本に救われたことは一度や二度ではない。静謐な文章から慰安をもらい、ときには熱量のある文章から勇気をもらう。「好きな人のことを褒めることで生涯を送りたい」と著者が思うように、自分も周りの人のことを想って生きていきたい。しかし、そうは言ってもこれが中々難しいのである。忙しない日常の中では、自分の面倒を見ることに精一杯で、ふとした瞬間に自分本位となっていることに気づき嫌気がさす。日が長くなればいくらか気分も良くなるのだろう。早く暖かな春が訪れてほしいが、地元の友人たちも社会人となり、ますます散り散りになっていく。その逃れられない現実をおもうと未だ憂鬱とした日々は続きそうだ。笑って友人の新たな門出を祝福するために、いまは淡々と生活をこなしていく。f:id:massto0421:20220129204458j:image