自転車で山、海へ行く

山、海、街、自転車、船、本のこと

霊仙山クリパ山行(2021/12/25)

雪山デビューとして昨年の12月25日に登った霊仙山(滋賀県)では、かなり痛い目に遭った。比較的気温が高かった当日、米原へと走る琵琶湖線の車窓から外の風景をみても、あまり雪の気配は感じられなかった。念のため持ってきた仰々しいピッケルを見てると苦笑せざるを得ない。f:id:massto0421:20220118171256j:image

米原駅で下車。乗合タクシー醒井養鱒場まで向かう。そこからしばらく舗装路を歩き登山口に着くと、雨がパラパラと降り始める。次第に雨は本降りになり、先行きの不安に苛まれながら登っていった。登山道は雪解けと雨でドロドロになっていてスリップし放題。踏ん張りの効かない登りに苦戦を強いられた。稜線に出るとさすがに雪が30cmほど積もっていて、強風の中、友人の会社の先輩に貸していただいたスノーシューを履いて山頂を目指した。体感温度は-5℃くらい。気温よりも吹き荒れる風がみるみると体温を奪い、山頂につく頃には手の感覚が無くなりかけていた。山頂付近は特有のカルスト台地が剥き出しになっていて、この辺りに吹く風の強さを想像できる。山頂での記念撮影もそこそこに、9合目あたりの避難小屋に文字どおり避難した。f:id:massto0421:20220118171429j:image

「クリスマスやからケーキ持っていこうぜ」とアホな提案をした友人は、本当にケーキを持ってきていた。避難小屋でそのケーキを食べ、ささやかにクリスマスムードを味わう。いちごの酸味とクリームの甘さが疲れた身体に沁みて非常に美味しかったが、クリスマスに避難小屋で男2人ケーキをつつく様は、地獄そのものだった。友人のアホな提案に対し「それやったらワインも持っていくわ」と、これまたアホな提案をした自分も神戸ワインのミニグラスを持ってきていたが「流石にこの状況でワインはまずいだろう」と珍しく意見が一致し、大人しくザックの中にしまっておいた。f:id:massto0421:20220118171544j:image

30分ほど避難小屋で休憩し、ようやく人心地がついた。外に出ると相変わらず寒いが、風は少し弱まっており安心した。時刻は14時40分で計画より1時間ほど遅れている。日没までには、不明瞭な雪道から逃れたかったので先を急ぐ。下山は柏原駅に下りるルートをとった。北側の斜面という地理的な影響か、登ってきた道よりも雪深く、思うようにスピードが上がらない。5合目あたりでようやく雪も少なくなってきたので、近くにあった避難小屋で下道用のトレランシューズに履き替え、ペースアップを図った。

その甲斐あって、なんとか日没までに2合目あたりまで下りることが出来た。この辺りになると、もう雪は残っておらず道はハッキリしている。ヘッドライトを点け、最後まで怪我をしないように下っていった。ようやく町中に出てきたので、ヘッドライトを消してザックにしまう。乗ろうと思っていた18時発の電車にも無事間に合いそうだ。街灯のない舗装路を駅に向かってトボトボ歩いていく。その刹那、視線が急にガクッと落ち、なぜか目の前には道路のアスファルトがあった。右太ももの付け根に鈍痛が走る。状況を理解するのに数秒かかり、ようやく側溝に落ちたことに気づいた。側溝に落ちるのは、5歳のころ、祖母の家の近くで後ろ向きに歩いていて落ちたとき以来だ。その頃の記憶が鮮明に甦ってきたが、感傷に浸る余裕などなく、ただただ虚しさと鈍痛のみを引きずりながらの帰路となった。帰りの電車の中で、ザックのショルダーポケットに入れておいたはずのデジタルカメラが無いことにも気付き、泣きっ面に蜂とはまさにこういうことだなァと、やるせない気持ちになった。「酒、飲まずにはいられないッッ!」と脳内でディオの声が再生され、私はザックから神戸ワインのミニグラスをを取り出し、友人と飲み交わすのであった。

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