茄子がままに

週末の山遊び、街遊び、自転車遊びのこと。ホームマウンテンは六甲山です。

TJAR2022開会式(2022/08/07)

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8月6日金曜日。連日の大雨による土砂災害の影響で特急サンダーバードがまさかの運休。仕事が終わる17時に会社を出て、深夜0時までに富山県西魚津に到着するためには…と急いで調べる。結局、新幹線で大阪から名古屋まで出て、高速バスに乗り換えて富山へ向かう必要があった。幸い富山行きの高速バスは空席があったので、鳳から新大阪まで向かっている最中に予約し、どうにかして高速バスに乗り込むことが出来た。f:id:massto0421:20230301001350j:image

先週の剱岳登山に引き続き、ふたたび深夜の富山駅に降り立つ。今度は西魚津駅へ向かうために富山地方電鉄へ乗り込む。いかにも地方電鉄といった小さな車両と、レトロ感のあるカラーリングが可愛いらしい電車だ。ゴトゴトと揺れる電車の車窓から、日本海が広がっているであろう方向を眺めてみるが、あいにく真っ暗で何も見えない。代わりに車窓に反射した自分の目と目が合うだけである。心地よい振動が眠気を誘うが、いま眠ってしまうと寝過ごす恐れが大いにあるため必死に眼を開けていた。

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西魚津駅は想像以上に小ぢんまりとした駅だった。垂れ幕に書かれた「魚津水族館」のフォントが哀愁を漂わせる。駅を出ると街灯が少なく真っ暗だったが、歩く先には大きな観覧車が赤く光っていた。周りに高い建物が無いのでひときわ目立ち異様な雰囲気がある。あの観覧車こそTJARのスタート地点となるミラージュランドである。
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ミラージュランドの駐車場には深夜にも関わらず多くの車が停まっていた。中へ入っていくと、すでに開会式が終わった会場が見え、その奥の建物に大会関係者や選手、自分と同じようにスタートを観にきた人たちが集まっていた。静かな熱気に包まれる建物に入り、物販コーナーにてお目当てのTシャツを購入。後から来る友人の分も念のため購入しておいた。
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やがて友人がやって来たので、スタート地点の海岸へと向かう。ゲートの周りはすでに人だかりが出来ており、選手に近づきたくても近づけない。そんな人だかりの中でも、スラっと身長の高い選手がいたが、彼こそ今大会もっとも注目されている土井選手だった。私と友人は人だかりを避けるため、ゲートから少し離れた河川敷の堤防で選手達を待ち構えることにした。
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スタート10秒前になると、どこからともなくカウントダウンの声が上がり始め、5秒前にはゲートを中心に熱気が最高潮に達した。

「5…! 4…!3…! 2…!1…!」

号砲とともに白いゼッケンを身につけた選手達が歩き始める。皆トレーニングでよく日に焼けているため、白いゼッケンがより一層と暗夜に映える。やがて私たちが待機している堤防へ選手達の集団がやって来た。

「ファイト!頑張ってくださーい!」

走り抜ける選手達とハイタッチを交わしながら、長い道のりの安全を祈る。最後尾の選手が通り過ぎていくと、集団は闇の中へと消えていった。f:id:massto0421:20230301035513j:image

3000m級の山々を超えながら、415kmという途方もない道のりを歩いた先に、いったい何が見えるのだろうか。そして人は何を思うのだろうか。それは実際に歩いた人にしか判らない。その体験を自らのものにしたいという欲求は、未だ私の中で燻り続けている。