茄子がままに

週末の山遊び、街遊び、自転車遊びのこと。ホームマウンテンは六甲山です。

サイクルモード大阪2021 インプレと雑感(2021/07/25)

サイクルモード大阪2021いってきました。毎年3月ごろに開催されてましたが、コロナの影響で今年は7月になったようです。場所はいつもの万博記念公園。9時10分ごろに到着しましたが、すでに行列が出来てました。それにしても待ってるだけで暑い…。登山用の折りたたみ傘を持ってきてたので、日除け代わりにするとだいぶマシです。試乗中は熱中症に気をつけないとね。写真見て気付きましたが「茄子アンダルシアの夏」でおなじみの、パオパオビールのジャージ着た方がいますね。(色々と複雑ですが)五輪でもロードレースが盛り上がったことですし、金曜ロードショーは早く茄子シリーズを放映してください。f:id:massto0421:20210725140009j:image

さてここからインプレです。ロードバイクグラベル系、折りたたみ・ミニベロ、子乗せ自転車などジャンルは様々。興味のある自転車だけ乗りました。ロードバイク編では六甲山を走ることをイメージして書いてます。記事の順番は上記の通りです。長文ですが、気長にスクロールしていただければ幸いです。

まずはロードバイク

[YONEX CARBONEX  サイズ:XS]f:id:massto0421:20210725142437j:imageヨネックスはテニスやバドミントンのラケットメーカーとして有名で、カーボンを扱う技術力は非常に長けているイメージがある。サイクルスポーツの「自転車道」というムック本にも、ヨネックスのフレーム作りの特集記事が掲載されており、設計から製造まで真摯にものづくりをされていることが良く分かった。軽量性を売りにしてるだけあり、漕ぎ出しの軽さ、ダンシング時の加速感は他のバイクと比較しても一段抜きん出ている。六甲山を走るなら表六甲や東六甲など、勾配のきつい坂道をリズム良くダンシングで登っていけば、バイクも素直に応じてくれそうだ。かと言ってペダリングの反動で足が吸われるということもなく、その辺はプリブレグの絶妙な積層加減を思わせる。気になった点を挙げるなら振動吸収性。細かい振動はいなしてくれるが、大きい段差を通過した際は振動がダイレクトに伝わってきた。長時間乗るのは疲れそうな印象を受けた。ともあれ国内メーカーという信頼感は、他の海外メーカーには替え難い利点である。ところで少し脱線するが、試乗車待ちにカツオさん、カツオクさんにお会いできた。六甲縦走キャノンボールランにご夫婦で出場されていると聞き、すごい人達がいるもんやな〜と隠れファンになった。中でも親不知から立山までの北アルプス縦走は、臨場感溢れるブログを読ませてもらい非常に面白かった。その旨を今回お伝えできたので良かったです。どうも有難うございました。

Panasonic ORCC22 サイズ:460mm]f:id:massto0421:20210725164924j:image使用パイプはカイセイの8630R。クロモリにニッケルを添加させることで強度が増すため、通常のクロモリよりも同じ強度を保ちながら肉薄に、つまり軽量に仕上げられる。フォークはカーボンだった。漕ぎ出しは重たいが、そのあと軽いギアのまま回していくと、スーっと伸びていくように加速して気持ちいい。振動も細かいものから大きいものまで、ストレスを感じない程度まで細分化してくれる。非常に乗り心地の良い自転車である。しかし登りでは車体の重さが効いて、脚を使わざるを得ない。その代わり下りでの安定感、すなわち直進安定性はピカイチで、東・西六甲の長いダウンヒルでも安心して身体を預けられそうだった。

[SPEEDCOG T&K NeoCozma サイズ:不明]f:id:massto0421:20210725165013j:imageバイクを俯瞰するとすぐに違和感に気づいた。溶接痕が無い!チタンフレームはTIG溶接でパイプ同士を接合するのが一般的で、その場合、必ずパイプのつなぎ目に溶接ビードが残るわけだが、このフレームにはそれが無く、滑らかなフィレット形状に仕上がられている。自分の愛車「AVEDIO BUCCHAS SL」のように溶接痕を研磨してるんかなぁと思い、スタッフさんに尋ねると「完全貫通溶接」という聴き慣れないワードが飛び出してきた。帰ってから調べても詳しい工法は分からず。企業秘密というやつか。この特徴的なフィレット形状がフレーム接合部の応力を分散し、クロモリで言うところのラグのような役割を果たすようだ。しかしパイプ同士の接合密度は非常に高そうで、ラグのように剛性不足といった心配は無さそうだ。気になるのは、この接合方法で果たしてフレームの中心が出るのかということ。いかんせん謎が多いフレームだ。気になる走行感だが、いい意味で裏切られた。思ってた以上にレーシーな乗り味で、踏めば踏むほどグングンと加速してくれる。それなのに、足に返ってくる反動はそこまで気にならない。「AVEDIO Venus RS」に金属フレームのカチっとした感覚を加えたようなフレームだった。f:id:massto0421:20210725165004j:imagef:id:massto0421:20210725165001j:imagef:id:massto0421:20210725165008j:image面白いのはフレームだけではない。ホイールにも秘密が隠されていた。リアホイールを空転させてもラチェット音がしないのだ。スタッフさん曰く、空転時は自動車のクラッチのように、フリーボディとハブのラチェットが離れた状態のため、完全にフリーになっているそうだ。なにそれ。ホイールのラチェット音は、当たり前だが、フリーボディとハブのラチェットが引っかかってカリカリと鳴っている。つまりどうしても抵抗が発生してしまうのだ。通常のホイールを前後とも空転させ、回転時間を計測すればその差は歴然である。ところがこのホイールは、リアもフロントのようにラチェットの抵抗を受けないまま回転する。確かに下りでも妙に伸びるような感覚があった。色んなパーツが出てるんだね。f:id:massto0421:20210725212811j:imagef:id:massto0421:20210725212844j:image

ここからはグラベル編。そこそこ走れて、かつ雑に扱っても壊れない堅牢性を持ち合わせたフルリジッドMTBが欲しいなぁ、と最近思い始めたので、試乗車もそっち系統が多いです。

[JAMIS RENEGADE S2 LTD サイズ 48cm]f:id:massto0421:20210725170529j:image使用パイプはReynolds 631。レイノルズ社が出しているパイプの中でも高級な部類。クロモリにマンガンが添加されている、いわゆる「マンモリ」というやつ。この言い方モッサリしてて嫌いなんだよなぁって個人的意見。ラレーの旗艦モデル「CRF」に採用されてるのが有名だろうか。添加物は違うものの、考え方は前述したカイセイ8630Rと同じで、要は添加物で強度を高め軽くしたいのである。で、乗ってみた感想だが、グラベルロード自体乗るのは初めてなので比較対象がなくインプレが難しい。正直に述べると幅広のタイヤが重くてしんどい、という印象が強かった。しかし加速するにつれて上手くスピードに乗り、平地を巡航するのは楽しかった。ダンシングでも思いのほか軽さを感じたのはパイプの恩恵だろう。良さを感じられなかったのは私の経験不足によるもので、いくらか比較対象や不整地での走行を経験していれば、もっと違った見え方があったと思う。

[TERN GRIT サイズ:480mm ]f:id:massto0421:20210725170535j:image最近の自転車情報を求め某チェーン店を訪れたところ、店内に目を引く自転車が置いていた。それがこの自転車。ternと聞くと小径車のイメージしか無かったが、こんな面白い自転車も出しているのかと驚いた。嬉しいことにサイクルモードでも試乗車があったので、ありがたく乗らせてもらった。うーん…重たい。重量12.3kgはロードバイクに慣れ切った身としては少々耐え難い。車体は重くても走りは軽い、という自転車もあったりするが、この自転車はなかなか厳しい。しかしレザーパーツやBMXハンドルバーの採用など、オールドなテイストを感じさせる外観はすごく好みだ。パーツのアッセンブル、特にホイールを交換すれば、走りも楽しめる可能性がある。もちろん今のままでも、10〜20kmほどの街乗りサイクリングであれば問題ない。これに乗って舞子公園あたりを走れば、さぞかし気持ちが良いだろうなぁ〜。

[fuji TALAWAH サイズ:19]f:id:massto0421:20210725170552j:imageサイズ19の“19”ってのはどこの数字から取ってるんだろうか。シートチューブ長は483mmなのでピッタリかと思いきや、やたらハンドルが遠い。それもそのはず、トップチューブ長は572mmで適応身長は180cm前後だった笑 そりゃそうなるわ。ってあれ?19ってシートチューブ長のインチ値か!ホイールベースが長めに設計されており、直進安定性は優れている。荷物をいっぱい積載させても安定感がありそうだ。加速感は5万円前後のアルミフレームのクロスバイクの様。1.75のタイヤを履かせてこの加速感はなかなか優秀なのでは。知らんけど。さっきのternよりかは走行性能よかった。色が好み。

[JAMIS SEQUEL S3 サイズ:19]f:id:massto0421:20210725170544j:imageこれも色が好みだわ〜、100点!と言いたいところだが、乗ってみないことには分からない。先ほどの2台よりも走行性能は抜群に優れている。走りの軽さを感じる。使用パイプは4130とカタログにあるのでクロモリだ。そして重量を見てビックリ。12.7kg!先ほどやや酷評気味だったternより重いのである。やはり自転車は奥が深い。パイプの素材は同じクロモリなんだけどね。ジオメトリーの問題かしらと調べたがternの方は2022年モデルのため、詳細は載っていなかった。話は逸れるが、この自転車の上位モデルに「SEQUEL S2」というモデルがあるが、パーツ諸々が違う他に、フレームのパイプが違う。S2はレイノルズの520を使用している。もし本当にフルリジッドMTBを買うならこれかな。

[EQUAL 機械式ディスクブレーキ]

自転車ではないが、個人的にサイクルモードで1番気になっていたブース。油圧式、EQUAL機械式、他社機械式ディスクブレーキが机に並べられており、それぞれブレーキングの感触を体感できる。油圧式はやはり引きの軽さが際立つ。それに比べ他社機械式はワイヤーの抵抗感と、ブレーキを握り込んだ時の遊びがある。対してEQUAL機械式はというと、ワイヤーの抵抗感はあるにせよ引きが軽く、何より握り込んだ時のカチッとした感覚が油圧式そのものだったのである。これには驚いた。目隠しをして握ったら油圧式と間違えてしまう。

f:id:massto0421:20210725220548j:imagef:id:massto0421:20210725220540j:imageスタッフさんに色々と尋ねて勉強になったことが多かった。まず機械式の両側ピストンは、かなり無理な設計をしていて、小さなキャリパーボディに左右独立した機構を詰め込む必要があるので、どうしても剛性不足になってしまうそうだ。アラヤのグラベルミニベロで、ブレーキングの感覚がキャリパーに近い感覚があったのは、その遊びに起因してるのかもしれない。EQUAL機械式は片側ピストンで、ピストンのカム機構を片側に集約できるので、その分、強度も十分に確保できるのだそう。それによってカチッとしたブレーキの感覚も生まれるらしい。なぜ他社の片側ピストンでそれが実現できないのかは分からない。しかし、片側ピストンと聞くと、ローターの歪みが気になるが、その点も考えられている。パッドの調整は左右で独立しているので、片側をローターの際まで近づけてあげれば、歪みはほぼ出ないと社内研究で調べがついているそうだ。キャリパーからディスクに移行する橋渡しとして機械式ディスクの需要は高まりそうだ。f:id:massto0421:20210725220554j:image

ここからは折りたたみ・小径車編です。以前からTwitterでフォローさせていただいてた星井さえ子さんの影響で、折りたたみ自転車も欲しいこの頃です。

RENAULT LIGHT8]f:id:massto0421:20210725183525j:imageこの自転車は、折りたたみ自転車の一大メーカー「DAHON」のOEM製品である。折りたたみ自転車は、折りたたみ機構の強度など、安全性でやや不安な要素があったりするが、その点では安心である。OEMなので値段が手頃なのも嬉しい。走ってみると、見た目通りの可愛らしい走行感。小径でチェーンリングも46tとそこまで大きくないので、平地を走るぶんには殆ど力を使わない。車体が軽いので坂道も楽に登坂できた。ただお察しのとおりスピードは出ない。目いっぱいクランクを回して時速20km出すのがやっと、という感じである。もともと速度は求めていない自転車なので問題ないだろう。むしろゆっくり走ることで、サイクリング中の新たな発見が得られるはずである。下りの安定感の無さもあるが、これは小径車全般に言えることなのでよしとする。要はスピードを出しすぎなければいいのだ。流石に神戸市内の激坂をこの自転車で下るのは些か不安だが…。f:id:massto0421:20210725183519j:image折りたたんだ状態はコンパクト!大きめのコインロッカーにも入るらしい。色々と行動のバリエーションが増えそうだ。18きっぷ電車旅のお供としてこの自転車を連れていきたい。海の見える駅、商店街のある駅、人気のない郷愁を感じる駅、気になった駅があれば下車してポタリング。あぁ、想像しただけでも贅沢極まりない時間だ。

[ARAYA muddyfox CXM サイズ:480mm]f:id:massto0421:20210725183514j:imageグラベルミニベロという変わったスタイルと、その他細かいディテールに惹かれて、一時期本気で買おうか迷った自転車。冷静に考えると乗る機会ないよなぁ、という結論に至りボツ。なお試乗は今回が初めて。小径車の苦手要素といえば、安定感、段差、振動、ということで、不整地を走るのはハッキリ言って向いていない。しかしそれでも商品として世に出すアラヤの心意気に胸を打たれる。グラベル化したことの利点は、安定感が増したこと。幅広のタイヤを履かせることで、ミニベロの弱点をカバーしている。ツーリング車としての使い方が向いてそうだ。ハンドル下や、リアホイール周辺の空間が広いため荷物を載せやすい。この自転車の面白いところは機械式ディスクブレーキが採用されている点。それもただの機会式ではなく、両側ピストン式のディスクブレーキである。その件はまた後で書くが、なんせ珍しいブツなのです。ブレーキングの感触はキャリパーブレーキに近く、ディスクが苦手とする細かいブレーキコントロールが出来る。走行性能は期待以上で、普通のロードバイクと遜色のない乗り味だった。もちろん巡行性には劣るものの、直進安定性やダンシングの感覚は違和感が無かった。やはりツーリング車としての使い道はアリだ。

つづいて子乗せ自転車編です。

[OGK ふたごじてんしゃ]f:id:massto0421:20210725194517j:image現行で出されている3人乗り(親1人子ども2人)の子乗せ自転車は、前の子乗せと、後ろの子乗せでそれぞれ年齢制限が違う。前は〜3歳、後ろは4〜6歳までなので、双子を2人とも乗せることは出来ないのだ。今まで気にしたことも無かったけど、言われてみれば困った問題である。そんな問題を解決するために作られたのがこの自転車。ご覧の通り、後ろに2台子乗せが付いている。このままでは安定性を欠くので三輪車になっている。ハンドルグリップのすぐ横にスイング機構のスイッチがあり、オンにするとカーブする際、車体が倒れるようになっている。駐輪して子供を乗せ降ろしする際は、スイッチをオフにすると車体が固定されるので、安心して作業できる。乗ってみた感想だが、三輪車の絶対に倒れないという安心感は素晴らしかった。ただやはりカーブする際や、急なハンドル操作は苦手とし、また別の怖さがあった。慣れの問題かもしれないが、とっさの対応は難しい気がする。

[OGK Camily]f:id:massto0421:20210725194507j:imageこちらは後付けタイプのサイクルトレーラー。後ろの荷台に延長ブラケットを装着すれば、大抵の自転車に取り付けられる。走ってみるとサイクルトレーラーの存在感の無さに驚いた。走っていても後ろにトレーラーがある事を感じさせない。少しトレーラーの様子を見ながら走ってみると、カーブでもしっかり後ろを追従してることが分かる。幅が狭いので内輪差などもなく曲がりやすい。f:id:massto0421:20210725194513j:imageトレーラーは簡単に脱着できるので、単体の使用も可能だ。例えば公園の駐輪場に自転車を停めて、トレーラーを外して公園内に移動したりも出来る。開発の経緯を聞いてみると、保育園用の布団の輸送をどうにか出来ないかという背景があったらしい。

日本の子乗せ自転車は、安全面で課題があると個人的に思う。3人乗り用の子乗せ自転車は、子ども2人を乗せた状態で、前カゴに荷物を入れられる仕様になっているが、それらが満載時に安全に移動できるかと問われれば、自分は全く自信がない。海外の子乗せ自転車は、ハンドルと前輪の間に荷台があり、荷物や子どもを乗せている。いわゆるカーゴバイクと呼ばれる自転車だ。低重心で非常に安定感のある乗り物だと思う。また、サイクルトレーラーのように、後ろに独立したチャイルドトレーラーを牽引するタイプもある。しかし、これらをそのまま日本に輸入するのも難しい。というのも駐輪場の事情が海外と日本では違うからだ。土地の狭い日本では、海外のように広い駐輪スペースを設けることは難しい。かといって、今の子乗せ自転車のカタチでは、いつか痛ましい事故が起きるような気がする。どうにかならないものだろうかと、色々考えさせられる1日でした。