クリスマスが今年もやってきた。例年どおり特に予定もないので朝からゴロゴロしていたが、暇なときほど余計なことを考え憂鬱になる傾向があるので外出しようと思い立った。そういえば先週あたりから金剛山に雪が積もっているという情報が流れてきた。金剛山に積もっているのなら、毎度おなじみの岩湧山も金剛山系であるため積雪しているのではと考え行ってみることにした。
関西サイクルセンターを超えて滝畑ダムが近づくと、既に路面にうっすらと雪が乗っている。滑らないように慎重に下る。滝畑ダム周辺もそれなりに雪が残っていた。しかし、冬らしく澄み切った青空がとても気持ちいい。部屋に篭っていれば見れなかった景色だ。この青空と岩湧山を眺めているとクリボッチがどうした、俺はこんなにも幸せじゃないかという気分になってくる。独り身も悪くない。
岩湧山登山口に自転車を停めてスノーハイクを開始。登山道の脇に雪だるま。クリスマスだから人も少ないだろうと思っていたが、雪の匂いを嗅ぎつけたもの好きなハイカーが意外といた。広い意味でクリボッチを回避できた(できてない)
新雪を踏む感触の気持ちいいこと。静まりかえった針葉樹林にサクッサクッと足音が鳴り響く。つくづく四季に恵まれた日本に生まれて良かったと思う。
山頂直下まで来ると、長い林間の道が途切れてパッと視界が開ける。岩湧山登山で一番好きなシーンである。
山頂に到着。雪は5cmほど積もっていた。今年初めての雪だった。冬は空気が澄んでいるので六甲山までよく見えた。山頂一帯のススキは秋になると黄金色に輝き多くの登山者を惹きつけるが、初冬に見られる新雪とのコントラストもまた美しい。豊穣の秋が終わり、忍耐の冬が来る。そういった季節の移ろいを目で見て肌で実感できる光景がそこにあった。星野道夫さんの随筆に書かれていた
“人の気持ちは、めぐる季節の移ろいに立て直されてゆく”
という言葉を思い出していた。