茄子がままに

週末の山遊び、街遊び、自転車遊びのこと。ホームマウンテンは六甲山です。

大峯奥駈道2泊3日①(2023/05/03〜05)

堺に引っ越して吉野までの距離が近くなったこともあり行きたいと思っていたが、計画していた日に限って悪天候だったり、足の故障が長引いて走れなかったりと、なかなか行く機会に恵まれなかった大峯奥駈道。そもそもの問題として大峯奥駈道は水場の状態や、標高2000m前後という中途半端な標高のせいでベストシーズンは1年を通しても少ないのである。1〜4月上旬までは雪が降るし、6〜9月中旬までは樹林帯が暑い。特に夏場は水場も枯れる。11〜12月になればまた冬の様相となる。したがって快適に縦走したければ5月もしくは10月あたりに限られるのである。

そんな事情もありつつ3年越しの想いが通じ、今年のGWにようやくチャンスが巡ってきたため2泊3日で逆峯(吉野〜熊野大社本宮)を実施した。

7:30 吉野駅出発

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自宅の最寄駅から始発で向かってこの時間。前日の仕事終わりに直接向かって深夜0時に出発という手も考えたが体力的にハードなのでやめておいた。服装は半袖シャツに短パン、ふくらはぎにザムストのカーフを着用。気温は15度くらいで少し肌寒かった。

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吉野といえば桜。4月になれば大勢の人で賑わう桜並木道を歩いていく。新緑がとても眩しい。ザックはUltrAspireの「EPIC XT 2.0」を使用。TJARでは貝瀬さん、垣内さん、井手さんが使用していたモデルで信頼が厚い。重量は2Lの水を含むと11.5kg。初めて訪れる山域で気候が読みづらいということもあり、防寒着は夏のアルプスより少し多めにした。本当は水を含めても10kgを切りたいところであったが致し方ない。今はまだ元気なので足取りは軽いがこの先どうなるかが不安である。

7:46 金峯山寺

二王門は現在工事中とのことで幕に覆われていた。神社仏閣にはあまり興味がないので特になんとも思わず先を行く。f:id:massto0421:20230829234941j:image

8:50 青根ヶ峰

この辺りからトレイルが始まる。普段は六甲山、生駒山金剛山系など街から近い山で練習していることもあるが、どこを見渡してもすでに山しか見えない風景は新鮮であり少し不安にもなる。万が一行動不能となった場合でも安易にエスケープ出来ないため心して掛からねばならない。
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10:30 ニ蔵宿小屋

林の中にひっそりと建つ山小屋は趣がある。どうも知り合いが同じGWにここへ来て宿泊したらしい。静かで良かったとのこと。
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11:11 大天井ヶ岳(1439m)

北アルプス大天井岳と似た名前で少し親近感が湧く。しかし名前の割に展望はそこまで良くない。

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11:37 女人結界門(五番関側)

古くから修験道として開かれた大峯奥駈道。その総本山となる大峰山山上ヶ岳)周辺では、今でもその歴史文化を継承するために女人禁制の区画が設けられている。しかし男女平等が謳われる現代においては女人禁制を設けることに対して反対意見も多い。当然のことだろう。もし自分が女性だった場合、古くから続く文化を尊重して女人禁制区間を避けて通るだろうか。改めて考えてみるがその自信がない。
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山上ヶ岳の行場が近づくにつれて道が険しくなっていく。鎖場もところどころ出現する。歩いていると白い服装をまとった行者さんや修行体験をしに来た人と多くすれ違った。すれ違う際にいつものように「こんにちは〜」と挨拶すると、何やら聞き慣れない挨拶が返ってきた。よくよく耳を澄ますと「お参り〜」と言っているようである。帰ってから調べてみると、大峰山周辺ではすれ違い時の挨拶に「よう、お参り」と声を掛ける文化があると分かった。

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慣れない「お参り〜」という挨拶を交わしながら順調に歩を進める。山上ヶ岳手前には洞辻茶屋、松清店といった茶屋があり休憩できる。意外にも売店があったりして、ジュースやカップ麺を購入できるようである。
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13:24 大峰山山上ヶ岳)(1719m)
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大峰山の山頂付近はお花畑があるらしいが、見た感じ笹で覆われた平原となっており、お花畑になりそうな様子はなかった。正面には2日目に登る弥山、八経ヶ岳、釈迦岳などがよく見えた。なかでも釈迦岳の山頂は群を抜いて鋭く尖っており険しい道のりであることが想像できる。10分ほどそれらの稜線を眺めながら休憩した。

14:23 女人結界門(阿弥陀ヶ森側)

大峰山の女人結界門は合計4つあるが、そのうち主稜線に設けられている五番関側と阿弥陀ヶ森側の区間は8.5kmもあるそうである。

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15:13 大普賢岳(1780m) 

CT0.7のペースで計画していた通過時刻は17:42なので約2時間30分早いペースである。ここまでCT0.5ほどで進んできたことになる。ペースが早いに越したことはないが、大腿四頭筋に筋疲労が溜まってきている感覚があった。
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普賢岳からの稜線歩きは展望に優れており歩いていて楽しかった。国見岳、七曜岳などのピークを通過しつつ1日目最後の行者還岳を目指す。

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16:55 行者還岳(1546m)

三角点は稜線から10分ほど外れた地点にあるらしいが、優れた展望があるわけでも無いらしいのでスルーした。
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行者還避難小屋に向かう途中に「行者の水場」と呼ばれる水場があり、そこで夕食用と2日目前半の水を補給した。大峯奥駈道で一番苦労するのは水の補給である。全長約90kmほどの長い稜線上において水場の数は限られているし、普段よく行く六甲山などのように自販機や売店がある訳でもない。特に南側に行くにつれて水の確保は難しくなっていく。荷物の重量を気にして水の補給をためらったりすると痛い目にあう。補給できるときに補給するのが大峯奥駈道では鉄則である。

17:33 行者還避難小屋
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小屋の中はすでに多くの登山者が居てスペースを確保できるか心配になったが、2階の一画にちょうど1人分の空きがあったので滑り込ませてもらった。夕食はモンベルのガパオライスを主食に、ジャガビー、いかり豆、ドライフルーツをボリボリと食べた。少量ではあるが朝までお腹が空くこともなかった。カロリーは恐らく足りていないと思われる。小屋の中は暖かく快適であるが、他の人のイビキや、遅い時間に入ってきた登山者の物音、それらに腹を立てた別の登山者の怒号が飛び交いカオス状態。こんなことなら外でテントを張って寝るべきだったなぁと少し後悔しながら眠りに落ちた。
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