茄子がままに

週末の山遊び、街遊び、自転車遊びのこと。ホームマウンテンは六甲山です。

裏銀座縦走①(2023/07/16,17)

3連休なか日ということで高速道路は混雑をきわめ、13:34に上高地到着予定だった高速バスは約1時間遅れとなった。バスの車内で北アルプスの天候情報を収集していたが、槍ヶ岳周辺の稜線ではかなりの強風が吹いているようだった。また先月、パノラマ銀座を一緒に歩いたKさんも北アルプスに来ているらしく、横尾あたりでも風が強いと現地の情報をいただいた。今回は1泊2日で前々から歩いてみたかった裏銀座縦走を行う予定だが先行きが心配される。

15:00 河童橋出発

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Kさんに教えてもらったとおり上高地にいても風が強い。先月パノラマ銀座縦走に行った際の晴天とは真逆で、穂高の頂は厚い雲に覆われていた。1日目は河童橋から双六小屋まで行く予定だ。当初の計画では日付が変わる手前あたりに双六小屋に到着する予定だったが、バスが1時間遅れたことで到着時刻が日付をまたぐ可能性が出てきた。2日目の行程もそれなりに長く出発時刻は遅らせられないので、睡眠時間を確保するためには1日目できるだけ早く双六小屋に着きたいところである。

15:40 徳沢園
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荒天予報にもかかわらず徳沢のテン場はテントで埋め尽くされたいた。コロナの規制が無くなったことで山に人が戻りつつある。河童橋から横尾までの遊歩道は小走りで進む。CT0.5ほどのペースで進んだため、CT0.7で立てた計画に対して大幅に時間短縮ができ、当初の1時間遅れは30分まで巻き返すことができた。

16:16 横尾

北アルプスに来ていたKさんは横尾で幕営しているとのことだったので、着いてからあたりを見まわした。Kさんが先に自分を発見してくださり手を振ってくれたのでわかった。Kさんは山岳ガイドの旦那さんと来ており、明日は南岳のバリエーションルートに挑むらしい。悪天候なので気をつけてと互いに挨拶を交わして先へ進んだ。
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槍沢ロッヂとババ平、どちらのテン場も既に満杯で隙間がないほどにテントで埋め尽くされている。アルプスでの行動時間帯は15時〜16時までが一般的で、それより遅い時間帯での行動は控えるのがセオリーであるため、テン場を通過するときは少し人の目が気になる。そそくさと通過した。
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ババ平を抜けると大きめの岩が目立つガレ場になる。天を突くような“偽槍”の大岩を眺めたり、道端に咲く高山植物を見ながらCT0.5〜0.6ほどのペースで進んで行った。f:id:massto0421:20231011235006j:image

水俣乗越の分岐を過ぎてから槍沢の本格的な登りに入る。すでにバスの1時間遅れ分は取り戻しており、当初の予定よりも10分ほど早いペースで来ていた。登ってきた方向を振り返ると常念岳が見えた。さらに進むと稜線上で滞留していたガスが槍沢へと滑るように降下してきて視界を狭めていった。
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19:18 殺生ヒュッテ分岐(2860m)f:id:massto0421:20231011235016j:image

殺生ヒュッテから槍ヶ岳山荘までは約500mほどだが200mの標高差があり非常に急である。ルート上に「あと〇m」という表記が100m間隔で配置されているが100mがやけに遠く感じる。槍の穂先は目の前に見えているのに一向に距離が縮まらない。まだ今回は涼しいので比較的に登りやすい環境だったが、2年前に初めてこのルートを通った時は8月の快晴下で地獄を味わった記憶がある。
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19:42 槍ヶ岳山荘(3080m)

予想していた通り稜線まで来ると風が先ほどまでとは段違いで強くなった。いまは山荘がある程度風を防いでくれているが、それでも中々のものだ。山荘を回り込んで西鎌尾根の稜線に出たらもっと凄まじいだろう。ひとまず槍ヶ岳山荘の入り口横にあるザックのデポジット地点で体制を立て直しながら今後の計画について考えた。
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入山前に荒天の情報が入ってきたので、とりあえず槍ヶ岳山荘まで登ってから状況を鑑みて下山するか進むか判断する算段だった。今の状況で想定されるリスクは低体温症である。爆風により行動不能→体温低下→低体温となるのが怖かったが、当然そういったリスクを回避するためにシェルター、ビビィ、防寒着などの備えは持っているので、いざとなれば稜線上で一夜を明かすことも出来る。槍ヶ岳山荘から今日の幕営予定地である双六小屋までは6.1km、CTは3時間52分。うまく進めば3時間で双六小屋に到着できるだろうということで進むと決めた。
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西鎌尾根に出ると案の常、爆風が吹き荒れていた。おまけにガスが濃く一瞬先へ進むことも躊躇われたが、とりあえず進めるところまで進むことにした。歩いていると爆風で体を持っていかれそうになるがストックを駆使してバランスを取りながら進む。幸い風は千丈沢から一方向に吹いているので、体が持っていかれる方向を予想できる。風に体重を預けながら歩いていくイメージである。千丈沢乗越を過ぎると風は幾分かマシになり、双六小屋まで無事にたどり着けそうだと安心した。
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夜間に歩くと昼間よりもチングルマの白さが際立つ。直径3mほどしかないヘッドライトの照射範囲内に突如として現れるチングルマの花は、暗闇のなかでの数少ない癒しの種となってくれる。
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22:12 樅沢岳(2754m)

ここまで来れば双六小屋はもう目の前である。
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22:27 双六小屋(2550m)

なんとか無事に双六小屋に到着した。上高地から約7時間30分なのでCT0.6を切るペースだった。他の人の睡眠を妨害しないようにテン場の隅の方でシェルターを設営し、晩ご飯のカレーメシを食べてから就寝についた。
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